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パリのトレンディーで庶民的なモントルグイユ地区にある高級ブラインド・スパ「ダン・ル・ノワール？」（www.lespadanslenoir.com）は、真っ暗なトリートメントルームで盲人セラピストの施術を体験できるフランス初のスパだ。

今ヨーロッパで人気のブラインド・レストラン「ダン・ル・ノワール？」（パリ、ロンドン、バルセロナ、セントぺトルスブルグ）を成功させた障害者雇用のモデル企業グループ「エチック・インベストメント」が、そのウエルネス版として、２０１２年にパリで開業した。フランスでも医療の分野では、盲人のマッサージ師がいるが、スパ＆ウエルネス業界では初めての試みだ。同グループの専務取締役ディディエ・ロッショ氏（全盲）が発案して、ディレクターとして、その発展に取り組んでいる。「盲人にとって、手が視覚で、感情表現の重要な手段。一日１０～１２時間は何かに触って生活している。マッサージはその手の力を発揮できる職業」。と言うロッシュ氏。

各自の要望と必要に応じたパーソナルマッサージ

地上階の入り口とレセプションはガラス張りの明るい雰囲気のモダンなスパだ。担当セラピストと一緒に、階段を上り薄暗い廊下を通って、真っ暗なトリートメントルームに着く。セラピストの説明と自分の手を頼りに、ロッカーの状況を把握しながら、脱衣してマッサージ用ベットに横たわる。その後は、視覚に邪魔されないマッサージの快適さを体験できる。

このスパお薦めの「パーソナル・マッサージ」は、エッセンシャルオイルの種類（ジャスミン、ローズ、チョコレートなど）、揉み具合や特に揉み解してもらいたいところなど、各自の好みや要望を考慮して、盲人セラピストの手の触感で感じ取る必要性に応じて、適切なテクニックで施術するという新しいコンセプトのプログラムだ。料金は、マッサージ５０分コースで９７ユーロ。ハマム＋ゴマージュ＋マッサージのセットコース（１時間５０分）で１５７ユーロ。

通常のスパの客層の他に、乳がんの手術、肥満、老化などの理由で、スパに行くことを躊躇っている女性に好評で、セラピストが見えない方がマッサージに集中できるという男性常連客も多いそうだ。男性セラピスト（９人中３人）のマッサージも体験できる珍しいスパだ。

フランスでは、セラピストの仕事をするためには、エステティシアンの国家資格を取る必要がある。このスパが開発した特殊な養成プログラムによって、これまで５０人以上が国家試験に合格して、さまざまな分野でセラピストとして活躍している。その中には、独立してこのスパのフランチャイズ店の開店を目指す人もいる。既にボルドーに第一号が誕生して、その他の都市での展開も計画中だという。最近は、高級スパ業界でも盲人セラピストの能力に注目して、高級ホテルでの採用も始まっているそうだ。